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ケミカルトナー

概要

ケミカルトナーの製造工程に用いられるホソカワの装置を紹介します。

トナーは、紙面上に印刷されるテキストやイメージ、写真などを表示するために、レーザープリンタや写真複写機に使われる粉体です。開発初期は、単なるカーボン粉でしたが、その後、印刷の品質向上を目指して、カーボンと樹脂の溶融混合品となりました。トナー粒子は複写機で熱によって溶かされて紙面に融着します。

内容

従来の粉砕トナーのSEM写真

ケミカルトナー(重合トナー)

より鮮明な印刷を実現するため、重合反応でトナー粒子を作製します。これは微細で均一な粒子径と形状のトナー粒子を得るためであり、正確な色彩を再現できる高品質なトナーを実現します。重合という化学技術を用いることで、粒子の溶融性を向上する研究開発が進んでいます。

ケミカルトナーは重合反応の後、固液分離が必要です。原料となるフィルタ・ケーキも、効率的に非常に低い残余物質レベルまで洗浄する必要があります。脱水と洗浄の後、残りの水分(およそ30〜40%)はケミカルトナーのガラス転移点(45℃)以下で、湿分0.5%WBレベルまで乾燥します。なお、粒子径は、重合操作によって決定されます。

ケミカル(重合)トナーのSEM写真

要求事項(例)

  • 含水量30〜40%WBの製品を乾燥して、0.5%WBに調整する。
  • 45℃以下の温度で乾燥する。
  • 粒子径は7µm以下で、形状の変化がないこと。
  • 乾燥後の流動性と誘電率などを調整する外添混合を行う。

ナウタミキサ型真空乾燥機

水の沸点

問題解決手段(ケミカルトナーの乾燥)

含水量を40%から0.5%まで引き下げ、低温で材料を乾燥するためにバッチ式真空乾燥機が使われます。通常のトナー(粉砕トナー)のガラス転移点は60℃以下ですが、ケミカルトナーは更に低いので、変性を避けるため、低い温度で乾燥する必要があります。

大気状況下では、水は100℃で沸騰しますが、真空下では水の沸点は下がります。100mbarでは46℃、10mbarでは5℃で沸騰が始まります。真空操作やジャケットによる加温は、熱エネルギーによって液体を蒸発させるためであり、製品を加熱するためではありません。真空乾燥機を利用する際、真空レベルは10〜30mbarとし、機内の製品が30℃以下になるようコントロールします。

ナウタミキサ型真空乾燥機は最適な真空状況下で、溶融や凝集を避け、製品を低温乾燥することができます。ケミカルトナー(重合トナー)は、弱熱性物質であり、局所的な受熱を避ける必要があります。

ナウタミキサが乾燥機として使用され、ケミカルトナーの乾燥では最大20m3タイプの実績もあります。また、スラリーやペースト、微少水分の粉体原料など、さまざまな原料に対応できる柔軟性の高い装置です。

乾燥時間は、以下の要因で決定されます。

  1. 乾燥機運転時の真空度
  2. ジャケットの壁面温度
  3. 原料とジャケットに起因する総括伝熱係数
  4. ジャケットの表面積
  5. 原料湿分と製品湿分

上記の条件を一定にすれば、乾燥時間は原料投入量や伝熱面積と相関関係を示します。

ナウタ型真空乾燥装置の標準フロー

ケミカルトナーの乾燥曲線

120リットルと6000リットルの真空乾燥機の乾燥時間(例)

流動層式乾燥機アグロマスタ

ケミカルトナーで使われる樹脂のガラス転移点が高い場合は、流動乾燥が使われる場合があります。アグロマスタPJ型では、対向流式パルスジェット機構を備えているため、乾燥過程で生じる凝集塊を解砕しながら乾燥することができます。

パルスジェット分散機構

アグロマスタ AGM-35PJ

トナーの外添混合

サイクロミックス構造図

高速せん断型混合機サイクロミックスは、乾燥した凝集性の強いトナーに微量の流動化剤や安定剤を混合する際に用いられ、トナー粒子の回りにこれら外添剤をコーティングします。高いせん断力によってトナー粒子が機内を回転し、添加物が層を形成します。混合中の原料への入熱を避けるため、ケーシングとトップカバーに冷却ジャケットを設けています。また、特殊設計により軸封部への原料の融着を防ぐ。なお、粉砕トナーでは、より硬い樹脂の外添混合用に分散性の高いノビルタを使用するケースも増加しています。

ノビルタ NOB-450

ナウタミキサ型乾燥機は、ケミカル(重合)トナーを大容量のバッチ式で要求された湿分レベルに低温で乾燥することができます。 高真空による沸点低下により、製品は過熱されず、しかも粒子径と形状に変化を与えない。サイクロミックスやノビルタによる外添混合は、入熱を避けた均一なコーティングを可能にします。これら装置によって、印刷に適した流動性と帯電量を持ったトナー粒子の作製が可能となります。

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