紙おむつ用高吸水性樹脂の製造工程に用いられるホソカワの装置を紹介します。
吸水ポリマー(SAP)は、親水ポリマ鎖の網目構造からなります。液体を吸収してゲル化し、圧力を加えても液分を保持する性質があます。
紙おむつに用いることで、尿漏れを防ぎ、赤ちゃんのお尻を濡れにくくします。需要の90%は紙おむつと生理用品で占めます。
欧米や日本では、紙おむつや生理用品の用途で既に不可欠なものとして定着しています。日本のように少子高齢化が進む国では、乳幼児向けの紙おむつの伸び率よりも高齢者向けを中心とした大人向けの伸びが高くなる傾向にあり、これらが需要を押し上げる要因となっています。
紙おむつ用の主要な吸収材として、以前はセルロース繊維が使われていました。しかし、圧力がかかった状況での液体の吸収容量増加、吸収速度の向上、液体保持時間の向上などが課題とされてきました。また、生産コスト低減や原材料の使用量と環境負荷の低減も課題でした。
現在、紙おむつでは、液体の吸収量は自重の30~500倍、成分比率(セルロース 対 樹脂)は、かつての20対1から1対1に変化し、厚みも薄くなりました。
ポリマー架橋状況
SAP製造工程は、化学反応および機械的粉体処理で構成されます。
粉体技術が関わるのは4〜6のプロセスです。
必要とされる製品物性は、紙おむつメーカーによって異なりますが、かさ密度と流動性が指標とされ、これらは粒子径によって決まります。また、吸水性も粒子径に依存するため、SAP粒子に要求されるのは、150〜600μmの硬く乾いた粒子です。
一般には、カッターミル ロートプレックスによる粉砕操作と篩による分級操作を用います。
機械処理されたSAP粒子は、圧力に対して中程度の保水性を示します。圧力対策として、ポリマ間の架橋領域を広げれば保水の安定性は向上するが、吸水性は劣化してしまいます。最新のSAP粒子設計では、架橋レベルを低めに抑えるのが一般的です。高吸水性を保ちながら、圧力に対して保水力を維持するため、SAP粒子の表面だけに架橋処理を施すことによって、剛性をもった高架橋の外殻構造粒子ができます。
この架橋剤をSAP粒子表面に分散するのに適するのが、フレキソミックスであり、世界で広く使用されています。架橋剤添加量、温度、滞留時間、架橋助剤の種類などの運転条件により、さまざまな吸水特性を持ったSAP粒子が作製できます。
この架橋工程で必要な操作は、
ですが、フレキソミックスは、これらすべての機能を持ちます。また、この後段プロセス(昇温、冷却)には、トーラスディスクを用います。
フレキソミックス FXD-250
フレキソミックス内部構造
【フレキソミックスの特長】
仕上げ段階となる最終処理では、SAPの親水性向上、劣化防止、白度保持、未反応モノマー除去、液浸透性や粉の流動性向上のために、液状または粉状の添加剤をフレキソミックスによって加えます。この処理でもフレキソミックスが活用されています。
フレキソミックス+トーラスディスク フロー
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