石膏やフライアッシュ、超微粉セメントの製造工程に用いられるホソカワの装置を紹介します。
産業分野で使われるミネラルとして、石膏、フライアッシュ、超微粉セメント、パーライト、生石灰、消石灰などがあります。
石膏は、鉱物系バインダとして最も古いもののひとつです。天然の石膏は、海水を蒸発させて沈殿した堆積物として得られます。建材石膏は、生の石膏から結合水を除去するために120〜130℃で焼成して作られます。天然の石膏に対して、脱硫石膏は、石炭火力発電プラントにおける煙道ガスの環境保全技術である脱硫プロセスによって作られます。
天然石膏の製造システムを以下に示します。
AWM フロー
天然石膏の製造には、摩耗性のある不純物質を含むため、テーブルローラミルAWMが最適です。
当装置は頭頂部にミクロンセパレータMSを持ち、最大粒子径の制御が可能です。また、原料の水分含有率が0.8%超の場合、当装置による乾燥も可能です。製品は粉砕処理中に残留水分値0.5%まで乾燥されます。分級エアーは加熱されてシステム内で再利用されます。
当システムでは、ブロワ、粉砕機、分級機からの熱が再利用されるので、エネルギー消費量が少なく、25%の省エネルギー化が可能です。当システムは、FGD石膏など他のタイプの石膏の製造にも適します。石膏の用途を広げるため、焼成の後、ファインインパクトミルUPZを用いて粉砕処理をすることがあります。さらに精密なトップサイズの制限が求められる場合は、ミクロンセパレータMSをUPZの後段に配します。
フライアッシュは、石炭火力発電プラントの廃棄物です。数年前までフライアッシュは埋立てに使用されてきましたが、最近は厳しい環境保護対策によって、同用途での使用は不可または非常にコスト高となりました。また、セラミックス成分を含んだフライアッシュは、セメント添加剤として使われます。当用途での使用には次の二つの指標が重要です。
これらのパラメータの基準は国によって異なります。単にトップサイズの制限が問題になる場合には、ストラトプレックスのような摩耗対策がなされた分級機が利用できます。しかし、LOIの値とトップサイズの制限の両方が求められる場合は、カウンタジェットミルAFGが必要となります。これは、分級機だけでは灰粒子から未燃の石炭粒子を分けることができないためであり、AFGを用いることで石炭粒子は粉砕され、分級ロータを通って微粉として排出することができるためです。
また、粉砕されにくい大きなセラミックス粒子は、分級ロータによって分級され、粉砕チャンバに戻ります。その際、粉砕圧を低めに設定しておくことでこれらの粒子はそれ以上粉砕されず粉砕チャンバに残り、粉砕室底部に設けた特殊な弁によって排出されます。ジェットミルをLOIの減少に用いる場合はバッチ運転します。
フライアッシュの廃棄処理コストは高いですが、一方でセメント産業における原料需要が増加しているため、セメント産業によるフライアッシュの利用は、供給側と需要側の両者に利点があります。
ストラトプレックス分級機630ASP (セラミック分級ロータ)
フライアッシュ処理のため、 カウンタジェットミル1500/3AFGの 底部を下げたモデル
特殊な粒子径と低い水/セメント比を特徴とする高性能セメント(バインダ)は、非常に緻密で硬い構造物を作ります。高性能結合剤(バインダ)で重要なのは、標準的なセメントへの超微粉(セメント)の添加量です。
また、超微粉セメントの分散液は粒子が微細で、優れた浸透力を持つため、従来のセメントでは不可能であった建物の細孔や空間、欠陥、クラックを固めることができます。これにより下記分野での応用が可能となりました。
超微粉セメントは、標準的なセメントを分級機ターボプレックス315/3ATPで分級して作られます。
一般的な分級システムのフローを下に示します。粒状の高炉スラグとセメントクリンカは個別または混合して空気輸送によってマルチロータ分級機へ運ばれ、分級処理され、微粉製品は集塵機で捕集されます。
一般的な分級システムのフロー
高性能コンクリートのモデル
パーライト
パーライトは、太古の昔に海中火山から噴出した溶岩が海水で徐々に冷やされてできたものです。この鉱物は1,000℃に熱すると体積が約20倍に膨張します。パーライト粒子は、さまざまな製品の出発原料として使用されます。当社が開発したパーライト処理に適した粉砕分級システムで微粉を除去した膨張パーライトは、セメント産業において建材の添加剤として使われています(軽量コンクリート)。
パーライト粒子は、微粉から粗粉まで建材産業で断熱材料として使われます。パーライト製品は、建物や床、壁、天井の断熱材料としてだけではなく、保冷充填用材、ろ過助剤、土壌改質剤、園芸・造園用としても使われます。
生石灰処理用ストラトプレックス 1500ASP
生石灰CaOは、炭酸カルシウムCaCO3を1,000度以上で熱して作られます。生石灰の用途は非常に広く多様です。建築や鉄鋼産業では、莫大な量の生石灰が使われています。また、廃水処理や環境保護(汚染地域の浄化)、砂糖やソーダの製造、乾燥助剤などにも使われています。生石灰は消石灰Ca(OH)2の原料でもあります。
ストラトプレックスクラシファイア 1500ASPの参考値(生石灰)
ストラトプレックス クラシファイアASP
生石灰は、粒子径範囲がd97=20〜200μmと広いため、ボールミルと要求される粒子のトップサイズが90μm程度の処理に適した分級機ストラトプレックスASPを用いた閉回路システムが適します。ASPは少ないエネルギー消費で高い処理能力を持ち、コンパクトな設計で、アルミナなどの耐摩耗部品を用いることで摩耗性の高い原料にも対応できます。
コントラプレックス 800CW
消石灰は石膏やモルタル産業で使用されますが、その他にも、水処理、煙道ガス脱硫、大気浄化、果物の貯蔵(CO2吸着)、有機農薬などにも用いられます。
消石灰を粉砕・分級する際は、粒子径(d97=45〜160μm)が重要な条件となるが、摩耗性や付着性も考慮しなければならない。また、製品粒子径がd97=5〜22μmの細かい製品も需要が増えており、コーティングされた増量剤は、プラスチック産業において新しい応用領域をますます広げています。
摩耗性の低い消石灰の処理には、2枚の対向した回転ピンディスクを持つコントラプレックスCWが最適です。耐摩耗コーティングされたピンを用いることで、摩耗性の低い原料に対しては、長い運転時間が保証されます。また、当装置は500kW以下の動力で運転可能です。なお、さらにシャープな粒子径分布が求められる場合には、分級機内蔵型のACMパルベライザが適します。
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