粉体層に浸透する液体(媒液)の重量の経時変化から浸透速度を求めることにより、粉体と液体との親和性(ぬれ性)を評価する装置です。
当装置は、粉体層に浸透する液体の重量を連続的に秤量し、その浸透速度から親和性を数値化して評価します。適用形態(材料)は、粉体以外に多孔質体、繊維、紙のようなシート形状の材料、錠剤など多岐にわたります。
製品化の工程では、乾式工程のみで最終製品となることは少なく、液体中に分散後、塗布・成形などの工程を経て、素材化・デバイス化される場合がほとんどです。
そのため、材料開発や量産品の品質管理を行う上でも粉体の表面・界面特性を定量的に評価することは非常に重要です。
電子天秤、測定セル、液体の入った受皿とその受皿の昇降部で構成されます。
測定セルは、電子天秤に吊り下げて固定し、受皿を移動させて粉体層と液体を接触させ、浸透重量を測定します。
構造図
試料セット図
固体表面のぬれ性評価法として、接触角が用いられます。
しかし、測定サンプルの成形(固体化)やその表面の調整方法、特に表面粗さは、測定結果への影響が大きく、粗さ調整された研磨面は必ずしも粒子表面の状態を代表するものとはいえません。
粉体のぬれ性測定では、粉体層内で形成される細孔が一様な毛管からなるモデルと仮定し、粉体層を液体に接触させ、毛細管現象によって、液体が粉体層の細孔内に浸透して上昇する度合いを計測します。
その浸透する速度は、液体と親和性が高いものほど速く、液体と粉体層の親和性に密接な関係があるとされています。
この親和性の関係は、Washburnの式で示されます。
当装置では、Washburnの式の浸透高さを浸透質量に置き換え(式1)、浸透質量をリアルタイムで計測し、その親和性を評価しています。
ここで、WL:浸透重量、t:時間、S:セル(粉体層充填部)断面積、ε:空隙率、ρL:液体密度、r:粉体層内の粒子が形成する毛細管半径、γL:液体表面張力、ηL:液体粘度、θ:液体と固体表面がなす接触角 です。
測定の前処理は、粉体層形成のためのタッピング処理のみです。本体にタッピング処理したセルをセットするだけで簡単に測定することができます。
一般の接触角の測定とは異なり、成形や焼成を行なわないため、粉末やシート状の形態でもぬれ性評価が可能です。
3種類のサンプルA,B,Cに対し、溶媒に水を用いて測定したところ、浸透重量と時間の間に右のような差異が確認されました。
測定例-浸透質量
Washburnの式の右辺に等しい浸透速度係数を求めるために右グラフ中の直線部分を抽出し、その勾配を求めたものが浸透速度係数となります。
測定例-浸透速度係数の算出
電池、特にリチウムイオン二次電池用材料の、ぬれ性評価に適した治具やセルもオプションとして用意しています。
電極(アルミ箔や銅箔上の粉体)のぬれ性測定用治具
電極を巻いた状態で評価するための円筒形セル
円筒形電池評価用セルによる測定の様
口腔内崩壊錠(OD錠)やフィルムコーティング前の錠剤などの各種処方の最適化(打錠圧や賦形剤・崩壊剤の特性(化学組成、粒子径等)に有効です。
錠剤測定用 コランタセル
錠剤専用測定セル(コランタセル)によるOD錠の吸水性評価の例
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