サステナビリティ

  1. トップ
  2. サステナビリティ
  3. TCFD提言に基づく情報開示

TCFD提言に基づく情報開示

■当社グループは、サステナビリティを巡る諸課題について、粉体技術の開発を通して社会に貢献するとの企業理念のもと、経済的かつ優れた技術をもって顧客の多様なニーズに的確に対応してその満足を得るとともに、社会に貢献し、倫理的指針に基づく活動を通じ、自然環境の保護に努め、次世代のための環境保全に取り組むことを使命としております。

■具体的には社内外において様々なサステナビリティ施策を実施しております。

  • 温室効果ガス排出削減や食品廃棄ロス削減、医薬品など、SDGs達成に資する製品の開発・応用・販売
  • 独自の粉体技術を生かして循環型経済や生活の質(Quality of Life)向上に寄与する製品・サービスの創造
  • 二次電池やモータなどカーボンニュートラルに向けて拡大している産業や業界への原材料の微細化・高機能化技術の提供
  • 全従業員に対して従業員向けインセンティブ・プラン(RS信託)の導入

■特に2050年のカーボンニュートラル実現に向けては、当社グループのように鋼材を使う産業は自社だけでなくサプライチェーン全体での取り組みが鍵と考えています。当社グループにできることを地道に積み重ねていくことが企業の存続、成長に必要不可欠であることを認識し、気候変動への対応につきましても気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)の提言に沿った取り組みと情報開示を進めてまいります。

1.  ガバナンス

  • 当社グループは、サステナビリティに関わる課題を抽出するとともに、諸課題解決に向けて取り組み、またガバナンスの高度化を図っていくため、今般新たに「ホソカワサステナビリティ経営委員会(四半期に1回、その他必要に応じて)」(以下、「委員会」という。)を設置しました。当委員会は、取締役副社長を委員長とし、各事業部門・管理部門の責任者などにより構成しています。気候変動対応に関わる重要事項は四半期に1回、その他必要に応じて、経営戦略策定時等にサステナビリティに関する課題を考慮するよう取締役会に報告・答申を行い、監督・指示を受ける予定です。
  • また、委員会の運営を補助することを目的に「ホソカワサステナビリティWorking Group」(以下、「WG」という。)を設置しました。当WGでは、委員会で取り上げる議案の取りまとめ、委員会からの指示に基づく必要な社内調整等、サステナビリティ施策について実務レベルでの協議・推進を図り、委員会に報告・答申を行い、指示を受ける予定です。
  • 目標・計画の策定、重点取り組み課題の選定、計画に対する進捗は適宜確認し、リスクと機会及び財務への影響をステークホルダーに開示してまいります。
  • 組織体制は下図の通りです。

2. 戦略

シナリオ分析

  • 当社グループでは、2100年における世界の気温上昇が1.5℃上昇、2℃上昇、4℃上昇の世界観を想定し、2030年、および2050年におけるシナリオ分析を実施しました。
  • 2023年度は対象をホソカワミクロン株式会社、ホソカワミクロン化粧品株式会社、ホソカワ受託加工株式会社に絞り、シナリオ分析を進めました。今後順次、海外連結グループ会社にも展開していきます。
  • 以下に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオなどを参照して、重要度の評価及び財務影響の分析を実施しています。
  • IEA 「World Energy Outlook 2022」 NZE2050/ APS/STEPS
  • IPCC「AR6」SSP1-1.9(1.5℃シナリオ)/SSP1-2.6(2℃シナリオ)/SSP5-8.5(4℃シナリオ)

リスク、機会

特に当社グループへの影響が大きく、実際に起きる可能性も高いと想定されるリスク9項目を開示します。

種類 リスクの発生する要因 具体的内容 2030年の財務影響

1.5℃

(2℃)

4℃
移行
リスク
政策及び規制 GHG排出の価格付け進行 炭素税導入など燃料への税負担増加に伴い、製造コスト(原材料費)や販売管理費が増加し、収益を圧迫
省エネ政策や低・脱炭素施策等の強化 自社のGHG排出量の報告義務や削減、客先への提示等の対応により、設備投資コストや管理コストが増加
環境規制により事業活動が制限される(機会損失)とともに、収益を圧迫
規制に対応できない調達先の廃業に伴い、調達不可となることによる機会損失
市場 消費者行動の変化 代替技術をもつ事業者の参入等を契機に、低・脱炭素化に資する商品(エネルギー高効率など)やサービス(リユース・メンテナンス)へとニーズがシフトし、開発対応の遅れた環境負荷の高い当社既存商品の競争力が低下することで収益を圧迫
評判
  • 当該セクターへの批判
  • ステークホルダーの不安増大
省エネ政策や低・脱炭素政策等への取り組みや情報開示の不十分さを理由に、ステークホルダーからの支持を失い、企業価値が低下
物理的
リスク
急性 台風や洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇 異常気象の頻発・激甚化に伴い、自社工場および協力工場の施設・設備の損傷、調達先や物流倉庫の被災等でサプライチェーンが寸断し、長納期化や操業停止により機会損失や貸し倒れが発生
慢性
  • 降雨パターンの変化
  • 気象パターンの極端な変動
  • 平均気温の上昇
  • 海面の上昇
平均気温の上昇に伴い、熱中症リスクが高まり、業務効率低下や空調設備の投資増加、重大事故の発生等により収益を圧迫
平均気温の上昇や海面上昇に伴う干ばつや水害により、原材料や部材の調達困難化や価格高騰が生じることによる収益の圧迫や機会損失が発生

特に当社グループへの影響が大きく、実際に起きる可能性も高いと想定される機会4項目を開示します。

種類 機会の発生する要因 具体的内容 2030年の財務影響

1.5℃

(2℃)

4℃
機会 資源の効率
  • 効率的な輸送手段の利用
  • 効率的な生産・流通プロセス
省エネ規制や低・脱炭素規制に対応することで、省エネ・効率化による管理費や輸送費が削減
製品及びサービス
  • 低炭素商品/サービスの開発、拡大
  • R&Dとイノベーションを通じた新製品・サービス開発
省エネルギーや製造効率の向上に資する製品の売上が増加(GEN4 RMXOPASPT-XVBL-Fほか乾燥機・粉砕機・測定機)
市場 省エネ、低・脱炭素移行に伴う成長市場へのアクセス EV用二次電池や代替食料等の需要増に連動した、当社粉体関連機器の売上が増加
評判 ステークホルダーの評価変化 製品・サービスや自社の事業活動を通じた低・脱炭素化への貢献およびそれらの情報開示を業界内で率先して進めることにより、ステークホルダーの支持を得られ、当社の価値が向上し、業績拡大につながる

対応策

特定したリスク、機会に対する中長期での対応策につきましては、継続的な実施と効果評価を行い、事業活動のレジリエンスを高めてまいります。

項目   具体的内容  
1 事業活動におけるGHG排出量削減推進 自社業務と製品配送の効率向上
  • 設計の最適化(材料使用量、加工時間の軽減)
  • WEBを活用した営業活動やサービス提供の展開
  • 工場出荷時データ(初期値)取得の自動化推進(GEN4)
  • 製品配送や梱包方法の見直し(相積み、梱包資材の見直しなど)
  • 配送業務の効率化(DXの活用)
エネルギー使用量の削減
  • 設備の省エネ化や高効率化
  • 省エネ機器への更新(省エネ効果の高い空調機、照明LED化、社有車のHEV化など)
各対応を推進する事業活動への転換
  • カーボンプライシングに係る法制度の動向を踏まえた事業計画(投資など)の策定
  • GHG排出量削減に向けたロードマップの作成、実施
2 サプライチェーンの強靭化
  • 取引先(調達、製造、工事、物流等)への当社の方針説明等の啓発活動の展開
  • 内製化の促進
3 経営理念「粉体技術の開発を通して社会に貢献する」に基づいた製品・サービスの拡充 省エネルギー製品の拡充
  • グループ会社技術力を集結したエネルギー効率の高い省エネ製品・技術の開発および省力化、効率化に資するシステムの開発と拡充
顧客の省エネルギー改善に資する製品・サービスの拡充
  • GEN4による最適運転(省エネ運転)の早期構築支援
  • 故障予知技術の実現と早期サービス提供および拡大
  • メンテナンスコストが低いデザインや部品の開発
4 低・脱炭素移行に伴う新たなマーケットニーズの探索
  • エシカル消費などの新たなマーケットニーズへの対応
  • マーケットニーズに対応した技術力獲得のための人材育成強化
5 積極的な情報開示と新たなサステナビリティ活動への取り組み展開 積極的な情報開示によるステークホルダーとのコミュニケーション強化
  • 省エネルギー製品や省エネルギー改善支援製品・サービスの案内強化
  • 自社の低・脱炭素活動の紹介
新たなサステナビリティ活動への取り組み展開
  • 脱炭素技術やノウハウを持つ企業とのパートナーシップ
  • 製品やサービス以外のフィールドでの取り組み(環境保全)
6 レジリエンスの向上 自社におけるBCM*推進
  • BCM*の水準向上
従業員の安全と健康の確保
  • 社員の健康に配慮した労働環境の整備(設備・IT投資など)

注* BCM : Business Continuity Management 事業継続マネジメント

3. リスク管理

  • 委員会を中心に特定された気候変動関連リスクの回避、軽減、コントロールと、機会への着手を早期に行うための方針策定や対応策の立案などを実施し、四半期に1回、および必要に応じて取締役会への報告・答申を行い、監督・指示を受ける予定です。
  • 気候変動関連のリスクは定期的に下記プロセスを回し、管理していきます。

  • 当社グループのリスク全般については、毎月開催される「総括経営会議」において、経営や営業上の問題、および海外の事業概況等の諸々の問題を事業部門が全社的な視点で報告しています。これらの報告を踏まえ、今後当社グループが直面する可能性のある各種リスク情報を収集したうえで、有効な対策を検討・実施し、経営の影響度に応じた機動的かつ最適な対応がとれるよう、リスク管理体制の構築に努めています。

4. 指標と目標

当社グループでは2022年9月期より事業活動におけるCO2排出量(以下、「 Scope1、2 」という。)、およびサプライチェーンのCO2排出量(以下、「 Scope3 」という。)の把握に取り組み始めました。

CO2 target

また、当社グループは2022年度のScope1、2を基準値として、CO2排出量の削減に向け、当社グループのScope1、2削減目標を設定しています。

  「2050年目標  Scope1、2 実質ゼロ」
  「2030年目標  Scope1、2 24%削減
                  
(2022年9月期比)」

  ※ ホソカワミクロン株式会社(国内のみ)、
                    ホソカワミクロン化粧品株式会社、
                    ホソカワ受託加工株式会社を対象

2022年9月期のScope1、2は2,259t、Scope3は2,974,664t(メートルトン)でした。

Scope3につきましても省エネルギー製品や顧客の省エネルギー改善に資する製品・サービスの拡充により、削減に貢献してまいります。


  • 環境省、経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」をもとに算出しました。
  • 初年度(2022年9月期)はホソカワミクロン株式会社(国内のみ)、ホソカワミクロン化粧品株式会社、ホソカワ受託加工株式会社に絞り、算出しました。