粒子設計という用語は1984 年、製剤と粒子設計シンポジウムの時から使われるようになったと言われています
(粒子設計工学、粉体工学会編、産業図書より引用)。その意味するところは、「粉体の化学的性質を変えることなく、粉体の性質を望ましい性質に改変したり、新しい粉体物性を創製すること」とされています。
当社乾式粒子設計技術の単位操作とその目的
1. 複合化 :異種粒子を一つの粒子に複合する手法です。化学反応速度・流動性・耐熱性などの向上、電気特性・溶解性の制御や、これらを組み合わせた特性の向上を実現する事が可能です。
2. 精密分散 :特にナノ粒子において、粒子を精密に混合・分散させることにより、今まで得られなかった色合いや、反応性・焼結特性・機械的強度の向上などが実現可能です。
3. 球形化 :粒子形状を球形化することにより、流動性や充填性の向上が可能です。
4. 造粒 :微粒子を扱いやすい大きさに成長させることにより、ハンドリング特性が向上します。
また、異なる種類の粒子を被覆する事により、溶解性の制御などが可能です。
・粒子の流動性や充填性を向上
・熱的・機械的強度・電気特性を改善
・溶解性を向上
・溶出速度を制御
・粒子1 個ずつに複数種類の粒子の持つ機能を持たせる
・化学反応速度を向上
以上のような事が実現されています。
粉体には、凝集や付着といった問題があることは広く知られています。特に近年盛んになりつつあるナノ粒子の応用に際しては、従来とは比べ物にならないほど強い凝集性を克服しなければなりません。
粒子を構成している分子レベルで制御しようという試みも盛んに行われていますが、分子自身の機能性が損なわれる場合もあるため、粒子レベルで物性を制御することの出来る、粒子設計技術が注目を集めています。
粒子設計方法:乾式と湿式の違い
粒子設計方法は、乾式法と湿式法に大別する事が出来ます。
■ 湿式法
高分子の重合、溶媒中の溶質の母粒子上への析出、ゾルーゲル法、液相によるナノ粒子の合成など
○特徴 ・球形度の高い粒子
・非常に均質な被覆層を持った複合粒子
○問題点・改善点
・一般に化学反応を用いる事が多く、使用する材料に制約がある
・有機溶媒を使用する事が多く、環境負荷の低減が困難
・乾燥工程が必要な場合が多く、粒子の再凝集、高コスト
■ 乾式法
粉砕機、混合機をベースとして開発された装置を利用。
○問題点・改善点
一般に湿式法のような完全な被覆層を持った粒子を得ることが困難
○特徴 ・材料の組み合わせが極めて広い
=ほとんど全てのパターン(有機- 有機、有機- 無機、無機- 無機)が可能
・乾燥工程が不要
・プロセスがシンプル
・ランニングコストが低い