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たった一人の日本人による欧州進出

セール氏

欧州への進出は二人の外国人を抜きにしては語れません。一人はもともとスイスの企業との技術提携を当社に申し入れてきたセール氏です。氏は、社長細川益男(当時)の自社の技術に対する姿勢に驚嘆し、スイスの優れた技術に負けない機械があるなら欧州で販売する、と申し出、さらにイギリスの自社のスペースにホソカワインターナショナル社の事務所を置くように計らってくれました。

もう一人は、当社初の外国人社員であるアメリカ人のミルバンク・C・ギラム氏です。もともと英会話の講師を依頼しただけの関係でしたが、のちに入社を希望し、貿易部が設置されることになりました。

そして貿易部が設置されたのと同じ年に、セール氏の用意してくれたイギリスオフィスへの駐在が始まることになりました。その時、担当者として選ばれたのは当時18歳の佐藤功(当時は見習工)でした。もちろん現地には日本人は誰もいません。ギラム氏は大きな順応性を持つ、と評して佐藤氏を選んだと伝わっています。赴任当時は英語を話すこともできなかった佐藤にとっては、試練の連続であったことでしょう。自己研鑽の結果、および数度に渡る長期海外駐在を経て、現地の人たちの信頼を得て、仕事を進め、広げていくことができるようになりました。のちに佐藤は当社の国際展開を担う役職に着任、最終的には当社相談役を務めることになりました。こうして欧米における当社の販売体制が確立していくことになり、のちのM&Aに繋がっていきます。