ナノテクノロジーという概念はナノサイズのものを扱う、あるいは利用する技術であり、1959年のR.P.ファインマン博士(『ファインマン物理学』シリーズや『ご冗談でしょう、ファインマンさん』の自伝でも有名なノーベル賞受賞者です )の講演が始まりであるといわれています。ナノ(表記は"n")という単語は10^-9、つまり10億分の1、を表すために、様々な単位、メートルやグラムなどの前に置かれて使われます。つまりkmやmgのk(キロ)やm(ミリ)と同じ仲間で、SI(単位の)接頭辞と呼ばれるものです。この大きさは原子数個から数百個という領域であり、通常我々が知覚できる現象とは全く違う性質が現れるだろうということが述べられました。さらに1974年には当時、東京理科大学理工学部機械工学科の教授であった谷口紀男氏が国際生産技術会議において初めて「ナノテクノロジー」という言葉を用い、その概念を提唱しました。そして1980年代には日本でもナノテクノロジーのプロジェクトが発足し、粉体の分野でも超微粒子ブームが起きました。そして、このナノテクノロジーという言葉が世界的な潮流を引き起こしたのが2000年のアメリカ合衆国のクリントン大統領による国家ナノテクノロジー戦略計画の発表でした。(この技術の詳細はこちら)
このような時代の中、当社でも新たなビジネスへの展開を目指し、ナノテクの中でも、ナノ粒子技術に関する研究開発と応用への検討が始まりました。その一つに、体の中で徐々に分解し、無害な物質になる有機物ナノ粒子を利用した研究開発がありました。この技術は、現在まで続いている国際ナノテクノロジー総合展・技術会議「nanotech」において、『第1回ナノテック大賞』を受賞しました。この材料こそがPLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)でした。
時代の流れとともに、医療分野への応用に関する共同研究や開発、化粧品や養毛剤の商業展開が行われ、2014年にはこれらの製品を販売する、ホソカワミクロン化粧品株式会社を設立しています。(ご購入はこちら)