M&Aこぼれ話

イゼム社の製品例

現在ではユーロに統一されてしまったために無くなった貨幣単位の一つに、オランダのギルダーがあります。当社が最初にM&Aを実施したナウタ社も、その次に買収したナウタ社の競合先であったフリーコ社もオランダにありました。そのフリーコ社が買収を検討していたのが、アクゾ社（現アクゾノーベル社）の傘下にあった精密加工を専門とするイゼム社でした。

1982～83年、ヨーロッパを襲った不況はこの会社にも大きな影響を与え、アクゾ社は買い取り先を探していました。当社は指一本の値段で買うという話をしたところ、1ギルダーだと思われ、仕方がないがこちらの責任者は二人いるので分けられない、という話になり、結果１ギルダーコイン2枚、日本円にして140円程度でM&Aすることになりました。表面上は安い買い物でしたが、オランダはアメリカなどと違って雇用条件が厳しく、簡単には現地社員を解雇できません、かつ、ずっと赤字が続いている企業でした。交渉の結果、従業員30名はアクゾ社が引き取り、残りの従業員は3年間の雇用継続、アクゾ社は2年間イゼム社に加工の発注を続ける、負債はアクゾ社がすべて引き受けるという条件に落ち着きました。ただしキャッシュもゼロであり赤字経営でした。しかし熟練工の働きもあって2年後には黒字化に成功しました。
のちにこの三社を一つにして、ホソカワミクロンヨーロッパBVを設立、ヨーロッパにおけるシェアを拡大していくことになりました。

なお、現在では社名を変え、ホソカワミクロンBVとして、オランダのDoetinchem（ドゥーティンヘム）にオフィスと工場を構えています。