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ホソカワミクロンと測定機の関わり

物を扱うときには、その性質を数値化して理解することが必要です。例えば長さや重さ、硬さなどが重要です。粉ではこれらをうまく表現することが難しいのですが(重さですら何種類も測定する方法や基準があります)、特に粉の流れやすさは、工業的に重要なパラメータです。例えば、粉を容器や袋に入れるとき、粉の流れやすさによってどの程度の量を入れることができるのか、などが変わってきます。例えば植物の種子や砂など流れやすい粉では簡単にいろいろな容器に入れることができます。ところが小麦粉や上白糖などは流れにくい粉は、塊のまま落ちて行ったり、あるいは空中に舞ってしまったり、と、うまく入れることが難しいことがあります。また入ったとしても、塊のまま瓶に入ると隙間が多く、たくさんの粉を入れることができません。困ったことに、同じ粉であっても、その大きさや形、湿度などの外部環境が異なると、粉の流れやすさ(流動性)は変わってしまいます。このため、流動性を測ることは工業的に非常に重要です。
ところが、流れやすい粉の流動性は簡単に測れますが(例えば漏斗に入れて落ちきるまでの時間を測る)流れにくい粉では粉が詰まって落ちない、という問題があります。このような粉の流動性を表現する方法もあるのですが、そちらでは流れやすい粉では測定値が小さすぎてはかりにくい、あるいは流れやすい粉同士の差が見えにくい、といった問題がありました。

パウダテスタPT-X

そこで当社では、この流れやすさを、どのような粉でも評価するための方法を探していたところ、一人のアメリカ人の論文を発見しました。その方法には理論がなく、経験的なものでしたが、多くの粉で人間の感覚と近い値が得られるという長所がありました。しかし、その論文ではさまざまな装置を使って、様々な項目を測定しており、またその記述にも曖昧なところがありました。そこで粉体工学研究所では、論文の著者と直接連絡を取りながら、一台の装置で流れやすさ=流動性を数値化する装置を作ることに成功しました。これが今では全世界で4千台を超える販売実績を持つ粉体特性評価装置パウダテスタです。なお、この筆者はR.L.Carr(カー)氏であり、彼の提唱した方法はCarrの方法、氏の提唱した測定方法によって得られた数値はCarrの指数(Carr’s indexまたはindexes)と呼ばれ世界中で使用されています。現在では、この装置を使って得られた測定値であることを示すため「パウダテスタ法」という名称が論文でも使われるほどの装置に成長しています。

この装置の開発以降、測定機は当社の目指す粉体技術連峰を構成する技術となりました。測定は粉体工学の発展に欠かせないものとして、研究所の設立趣旨である「粉体処理に関する工学の研究・調査とその工業化に資すること」に則り、現在でも、各種装置を研究開発し続けています。